2020年03月05日

歌野晶午 / ガラス張りの誘拐

この間からずっと積んだままだった紙の本を読破していっていますが、今回読んだのは歌野晶午氏の『ガラス張りの誘拐(1990年)』。
歌野晶午氏の作品を読んだのは、どうやら4年ぶりらしい(汗)。

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作品は三部作。しかもタイトルが「第二の事件」「第三の事件」「第一の事件」という順番。
「第二の事件」は連続婦女誘拐殺人事件。犯人が新聞社に犯行声明文を送りつけて捜査は混乱しつつ最終的に犯人の自殺によって事件は解決するも、犯人の遺書によれば犯行声明文を書いたのは自分ではないという謎。
「第三の事件」は「第二の事件」でも捜査に当たっていた刑事の娘が誘拐され、犯人からの要求は身代金1億円。しかしまず警察には連絡しろ身代金の受け渡しに向かうときは警察もマスコミも呼べという、誘拐犯としては謎すぎる命令。
そして「第一の事件」は当然順序としても数年前に戻ってのストーリー。
最後に「エピローグ」でいくつかの残されたままだった謎がすべて明かされるのですが、広げた風呂敷はここで急速にキレイに畳まれたという印象。

プロットとテンポ感が非常によく出来た作品という感想でした。自分は中断するタイミングが見つけられず、一気に読み終えてしまった(笑)。
30年も前の作品で、作中でもポケベルが一瞬出てくる程度で連絡手段は固定電話と公衆電話という時代なのだけれど、そんなに違和感はなく読める。
ドラマ向きなんじゃないかなという印象も受けたのですが、読み終えてから調べてみたら2002年に奥田瑛二氏主演でドラマ化されていたそう(北の捜査線・小樽港署)。見てみたいなとも思いますが。


このブログで歌野晶午作品で読んだものを確認してみると、「葉桜の季節に君を想うということ(2003年)」は覚えているのだけど、「家シリーズ」などはまったく覚えていない(汗)。
今やっている積ん読の始末が終わったら、そのあたりは読み返したいなぁとは今回思ったのですが。

Posted by toshihiko_watanabe at 22:21│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加  

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