

去年、SACDハイブリッド盤を購入した際は、マルチトラックのテープは紛失されてもう無いという情報を目にしたのですが、どうやら存在していたよう……。
まあ今回のBlu-ray盤は、Steve Wilsonの解釈がかなり反映されているミックスであった印象だったので、SACDハイブリッド盤の方も無駄にはならないかとは考えていますが。

盤は、5.1chサラウンドが収録されたBlu-ray盤と、CD盤の2枚。

CD盤の方は、Steve Wilsonによる2chステレオリミックスを収録。

そしてBlu-ray盤の方は、さすがに容量に余裕があるとはいえ、5.1chサラウンド・2chステレオリミックス・オリジナルミックス・シングルバージョン・UKビニール版等々かなりの音源を収録。
もちろん個人的に興味があるのは、5.1chサラウンドミックスなわけですが。

Blu-rayですが動画の収録はなく、モニターに映されるのはこういった静止画。
聴いてみると、先に書いた通りSteve Wilsonの『Close To The Edge』というアルバムへの解釈。
大きく言えば、Yesというバンドはどういうバンドなのかということを彼がどう解釈しているのかが伝わってくるサラウンドミックス。
とにかくコーラスへの比重が大きい。
おそらくSteve Wilsonは、Yesを"コーラスバンド"として捉えている部分が大きいのではないかと想像されるミックスでした。
没テイクからも追加しているのではないかと思われるくらい、コーラスパートは増やされていた印象。
タイトル曲「Close To The Edge」のクライマックスではほぼ周囲が歌声に埋め尽くされて、和音はギターとメロトロンとピアノが歌声の隙間から聴こえてくるというカオス状態。
とはいえ、それが周囲に振り分けられてなんとか各パートを聴き分けられる状態にされているというのは、サラウンドゆえのミックスだったはずですが。
もう一点印象的だったのは、「And You And I」中盤のインストセクションに入ったあたりでのアンビエント感。
今までに聴いたミックスよりも深めのリバーブがかかり、Yesの曲の宇宙的な感触だったりをリミックスで拡大解釈したのかもと。
ギタリストのSteve Howeは、「天を駆けるペガサスのようなYesのサウンド」と発言していたのを目にしたことがありますが(爆)、それを体現したリミックスかもと。
聴く方の心構えによっては、ほぼ違う曲に聴こえてしまうのではというくらいの大胆なサラウンドミックスだったのではと思いますが、個人的には非常に面白いミックスだったと思っています。
まだまだ繰り返し聴いていこうと。
去年購入したSACDハイブリッド盤は、こちらは今までのオリジナルステレオミックスをハイレゾへブラッシュアップした盤ということが確定して、今回のBlu-ray盤の方にもオリジナルミックスは収録されているものの、SACDハイブリッド盤の方もたまに聴き返してみないといけない存在ということになったのかも。