北森鴻 / メビウスレター
北森鴻氏の1998年発表の「メビウスレター」。
2日ほどで一気に読了。
作家・阿坂龍一郎宛に、数年前に学校内で焼身自殺した男子高校生の事件を調査していく手紙が送りつけられ、過去と現在の事件がともに進んでいくというミステリ。
「どう殺したのか」
ではなく、
「誰が殺したのか」
「なぜ殺したのか」
がテーマとなっている推理小説。
過去からの手紙の書き手である人物を含め、仮面を被った人物が多数いるので、理解しながら読み進めるのにめくったページを何度か戻したりしましたが。
しかし、結末部直前あたりで謎が解決していくのを読んでいくあたりは久しぶりに「パズル」という単語を強く意識しましたよ。
犯人の殺意・犯行経緯にはちょっと弱いものを感じましたが、
この本で印象に残ったのは、過去からの手紙が高校生活の中で書かれているということからの青春群像。
ちょっと最近の秋晴れを思わせるような。
歳のせいか、最近こういう学生生活の内容を描いた文章を読むと、ああ懐かしいなぁと思うもので
最終ページの、過去からの手紙の最後の文章、
「さようなら、高校生活。
さようならキミ。
じゃあ、またいつか。」
で、なんか清々しく終わった感を持たされてしまうのは、自分の年齢による弱くなった部分を突かれているような感もあるのですが
ブックオフで、店舗によっては105円で置いてあると思うので(寂)、気になった方はどうぞ。
Posted by toshihiko_watanabe at 00:56│
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