岡嶋二人氏の「どんなに上手に隠れても(1984年)」。
テレビ局からアイドル歌手が誰にも気づかれずにさらわれるという、けっこう派手な誘拐もの。
「誘拐」に定評のあった作家だけあって、さすがに全体の組み立てが上手いと思わされる。
あと、本作でストーリーの幹を固めているのは、各キャラクターの行動原理もそれに寄ったものになる、芸能界という世界の表裏の諸事情。
まあ終盤の謎が明かされる部分で小さく納得いかない部分、というかあまり興味の乗らない解決な部分もあるのですが、作品としてはテンポの良い、広げた風呂敷をちゃんと畳んでくれている作品ということになるのではないかと。
岡嶋二人氏の作品は、とりあえず誘拐ものを続けてみようということで、次は「99%の誘拐」を読む予定。