2016年03月16日

The Show That Never Ends.

先週土曜日の12日早朝に飛び込んできた、『エマーソン、レイク&パーマーのキース・エマーソンが死去』というバッドニュース。


その後に自殺であるということが伝わってきて、それが病気による自身のパフォーマンスの低下を悩んでいたことが原因?等の情報も入ってきて、90年代以降に指の動きにトラブルを抱えているということはもともと知っていたので、プロフェッショナルな悩みによることだったのかなぁとも。
とにかく残念。



タイムリーにもちょうど先週は、Emerson, Lake & Palmerの初期作を順番に聴いていたのですが。
The Nice (1966〜1970年) 〜 Emerson, Lake & Palmer(EL&P)(1970〜1980年, 1992〜1997年) 〜 Emerson, Lake & Powell (1986年) 〜 3(Three) (1988年) というのが、Keith Emersonの代表的なバンドキャリア。


そんなEL&Pでの作品も、個人的には初期の作品がピークかと。
デビュー作のスタジオアルバム『Emerson, Lake & Palmer(1970年)』から『Brain Salad Surgery <恐怖の頭脳改革>(1973年)』に、ライヴアルバム『Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends... Ladies and Gentlemen(1974年)』まで。

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この頃の作品でのKeith Emersonは、プレイはもちろん、作曲とキーボードアレンジでも非常に非凡で独創的な面が多くて、今聴き直しても驚きと興味深い点が多々。
メロディーに対するカウンターメロディーだったり(ヴォイシングして和音でぶつけたり)、基本的に裏メロのセンスがキレていた時期だったのではないかと考えていますが。
Tarkus(1971年)』の表題曲は今聴いても本当にスゴいし、ライヴアルバム『Pictures At An Exhibition <展覧会の絵>(1971年)』での超絶アグレッシブな演奏も聞き飽きない。


しばらく間隔を空けてからリリースされたスタジオアルバム『Works Volume 1 <四部作>(1977年)』でも、「Pirates <海賊>」は個人的にはけっこう好きなのだけれど、これ以降にKeith EmersonもEL&Pも再びピークを迎えられなかったのは、各自のアイデアの出尽くしに加えて、Keith Emersonが進化に貢献したシンセサイザーの"音色"にも寄る部分もあるのかなと???

シンセサイザーという楽器は、1970年代前半はKeith Emersonがタンスのようなサイズのモーグ・シンセサイザーをステージに持ち込み、その後彼が進化に貢献してサイズが小さくなったミニ・モーグでさえモノフォニック(単音のみで和音が出ない)な状態が続いたのですが、モーグの音の太さというものは唯一無比のもので、しかしその後ポリフォニックのシンセサイザーが出てきたものの、今聴き返すと音色の厚みに欠けるへっぽこなサウンドのものがほとんどで、その辺も彼のキャリアには(結果論ながら)マイナスだったのかもしれませんが。



そういえば、今回の訃報を受けてTwitterでは、「Keith Emersonといえば『幻魔大戦』(1983年公開の角川アニメ映画。Keith Emersonが作曲で参加)」というツイートを多く目にしたのですが、その幻魔大戦のサントラも80年代ということで、個人的には最初に聴いた時からそんなに印象は良くない(爆)。
思い出補正などで、音楽というのは十人十色に違って聞こえるのでしょうけれども。



EL&Pを1970〜1975年にリアルタイムで、例えば15歳くらいで聴いていたとしたら今は50代後半〜60歳代になるのに対して、1983年の『幻魔大戦』を15歳でリアルタイムで観た人は今48歳前後なので、単純にTwitterをやっている人が多いのがその世代、ということだけな気はしますが。
自分はさらにそのあとの世代なので、CDでアルバムを聴いていった結果「Keith EmersonといえばEL&P」になってしまう。



ちなみに、自分が今までに行ったライヴ or コンサートで一番音量が大きかったのは、1996年の渋谷公会堂でのEL&Pのもの。
EL&Pのパフォーマンス自体もスゴかったのだけれど、その音量のスゴさにもビビった(爆)。
もう20年前で、Keith Emersonが指の手術をしたりとかの情報もあった頃なのだけれど、70年代と同じようにハモンドオルガンを引きずり回してナイフを突き立て、倒したオルガンの下敷きになりながら逆から弾きまくるKeith Emersonには全員満足していた記憶。
会場全員を納得させる、最高のパフォーマーだったということも強く憶えています。



↓最近ではほぼ買わない(爆)、ツアーパンフレットから。10月12日の公演だったよう。

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今回のブログタイトルはもちろん、スタジオアルバム『Brain Salad Surgery』収録の超大作「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 2」の歌詞の一節であり、EL&Pのコンサートの最初に毎回アナウンスされ、ライヴアルバムWelcome Back My Friends To The Show That Never Ends... Ladies and Gentlemen』のタイトルでもあるフレーズから。

"終わりなきショーへ、またようこそ友よ"

ショーは終わってしまったのかもしれませんが、録音された作品は残ってこれからも聴き継がれていく。
ありがとうございました。
さようなら。




Posted by toshihiko_watanabe at 20:57│Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 音楽 | CD / DVD / Blu-ray

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