2011年11月16日

藤田和日郎 / からくりサーカス

この間までマンガ喫茶で読んでいた、藤田和日郎氏の「うしおととら」に続く長編『からくりサーカス(全43巻)』。

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約200年に渡る物語を綿密に展開させて、またそれを丁寧に収束させている作品。

特に力を入れて描かれていると感じるのは、主人公の1人である小学五年生の才賀勝の成長。
物語序盤では守られるだけで本当になにも出来なかった少年が、最終巻では序盤で離ればなれになったもう1人の主人公と背中合わせで闘っているというシーンは非常に熱い。
またこの2人が結局最後まで再会するシーンがないというのは、安易に物語を組み立てていないのが伝わって非常に良い。

主人公達と相対するのは"オートマータ"と呼ばれる機械人形たちですが、"笑顔"を最大のテーマとした「人間らしさ」とはなんなのかを考えさせられるんじゃないかと。

個人的には、物語中盤まではオートマータの首魁グループだった"最古の4人"の心の変化と立場の変遷は興味深く、また最終盤での彼らの命の終わらせ方には感動を覚える。


43巻をかけて大風呂敷を広げに広げて最終巻でたたみきるという、1冊だけ読んでもまったく伝わらない作品なので、人に勧めるにもそれなりに重い作品だとは思いますが、間違いなく大傑作だと思います。


ジョジョの奇妙な冒険(荒木飛呂彦)』『MASTERキートン(浦沢直樹)』辺りが、マンガ作品の自分のトップクラスですが、これらに割って入るくらいの作品でした  

Posted by toshihiko_watanabe at 22:13Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

2011年10月07日

藤田和日郎 / うしおととら

読み終わったのはちょっと前ですが、マンガ喫茶で全巻読んだ藤田和日郎氏の『うしおととら(全33巻)』。

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1990〜1996年の連載なので、自分の中学〜高校生の頃がリアルタイムとなる作品ですが、中学の頃は週刊少年ジャンプを読んでいて、高校に入る前辺りからは週刊少年マガジンが加わる感じ。
うしおととら』が連載されていた週刊少年サンデーはたま〜にしか読んでいなかった(爆)。
たまに読んだときは、妖怪モノの画の荒いマンガだなぁくらいの印象だったと思うんですが(汗)。

で、今回初めて通して読んでみると、綿密かつ壮大なストーリーと設定。
バラ撒きまくりの伏線を、クライマックスに向けてきっちり回収していくとともに登り詰めていく作品のテンション。

主人公の片割れ、妖(バケモノ)の「とら」の感情の変化していく様というのも作品を形成するテーマのひとつになっていますし、また存在自体がマスコットキャラとして成立しているのも面白い。
また、数多い登場人物のほぼすべてで過去が語られ、またそれが複雑に絡み合い、クライマックスで集結するという。

こんな、33巻という長さを目一杯使って紡がれた物語が、たまにしか読まない雑誌での1編で理解出来るハズもなかった(汗)。


時代的なものか作者の初の連載作品ということもあるのか、キャラクターのセリフやポーズにクサいものや気恥ずかしいものもちょこちょことあるんですが、それ以上に勢いが伝わってくる

今まで読んでいなかったのを後悔する傑作でした。
これからの世代にも読まれていくべきマンガだと思いますし、またもっともっと評価されて良い作品だと思います。  
Posted by toshihiko_watanabe at 22:46Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加