2011年10月07日

藤田和日郎 / うしおととら

読み終わったのはちょっと前ですが、マンガ喫茶で全巻読んだ藤田和日郎氏の『うしおととら(全33巻)』。

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1990〜1996年の連載なので、自分の中学〜高校生の頃がリアルタイムとなる作品ですが、中学の頃は週刊少年ジャンプを読んでいて、高校に入る前辺りからは週刊少年マガジンが加わる感じ。
うしおととら』が連載されていた週刊少年サンデーはたま〜にしか読んでいなかった(爆)。
たまに読んだときは、妖怪モノの画の荒いマンガだなぁくらいの印象だったと思うんですが(汗)。

で、今回初めて通して読んでみると、綿密かつ壮大なストーリーと設定。
バラ撒きまくりの伏線を、クライマックスに向けてきっちり回収していくとともに登り詰めていく作品のテンション。

主人公の片割れ、妖(バケモノ)の「とら」の感情の変化していく様というのも作品を形成するテーマのひとつになっていますし、また存在自体がマスコットキャラとして成立しているのも面白い。
また、数多い登場人物のほぼすべてで過去が語られ、またそれが複雑に絡み合い、クライマックスで集結するという。

こんな、33巻という長さを目一杯使って紡がれた物語が、たまにしか読まない雑誌での1編で理解出来るハズもなかった(汗)。


時代的なものか作者の初の連載作品ということもあるのか、キャラクターのセリフやポーズにクサいものや気恥ずかしいものもちょこちょことあるんですが、それ以上に勢いが伝わってくる

今まで読んでいなかったのを後悔する傑作でした。
これからの世代にも読まれていくべきマンガだと思いますし、またもっともっと評価されて良い作品だと思います。  

Posted by toshihiko_watanabe at 22:46Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

2011年09月21日

島本和彦 / 燃えよペン 〜 吼えろペン・シリーズ

台風は、ウチの方でも夕方にかけて雨風ともに強くはなりましたが、特に被害などはなく。

しかしまあこれは部屋に引き蘢るべき天候だろうということで(爆)、昨日から島本和彦氏の『燃えよペン(全1巻)』『吼えろペン(全13巻)』『新吼えろペン(全11巻)』を一気に読む。
全部で25冊だとけっこうな量なんですが、コマが大きめでセリフが少ないのでガンガン読み進められる
まあ"漫画家マンガ"という内容ですし、なるべく背景も観察するようには読んでいますが。

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新吼えろペン』の後半からリアルタイムに新刊を買っていったので、数ヶ月に1度読んだっきりだったそこいらへんは、あまり内容を憶えていなくてちょっと新鮮。
最終回がけっこう衝撃的な展開だったのも忘れていた(汗)。

読み返して思ったのは、『吼えろペン』が"マンガを描くこと"ということに関連したストーリーがほとんどなのに対して、『新吼えろペン』ではそこからさらに派生していく内容のものも多いということ。
まあ作品全体を通して入れ替わっていくアシスタントの面々と、雑誌社の編集者というのが漫画家の人付き合いの大部分なのかな、というのは強力に表現されていますが(笑)。
全体的に、フィクションとノンフィクションの区別が、あからさまだったりかなりぼやかされていたりと。

もちろんこのシリーズの売りは、作者と""となる主人公、炎尾燃がしばしばページ見開きで言い切る名言。

"目標は追いかけるもの!
夢は醒めるもの!!"


なんてフレーズ、なかなか思いつきませんよ(笑)。


最近マンガ喫茶で藤田和日郎氏の『うしおととら』『からくりサーカス』を読んでいるので、彼を描ききったとも言える(笑)富士鷹ジュビロというキャラクターの完成度は本当に高いと思える。
富士鷹ジュビロが、作品の大風呂敷を畳むのに苦労する様子は、実際の藤田氏の作品を読んでいても痛切に感じますが(それ以上に、巧いなぁとも思わされますが)、島本和彦氏のストーリーの展開のさせ方とはまったく違うってのもよくわかる。
というか島本氏の場合は、だいたい風呂敷を広げる以前に熱血展開でよくわからん方向に瞬間的に話が沸騰してしまうというのが(笑)。

まあそこいらへんは漫画家のスタイルの違いですからね。
例えて言えば、藤子不二雄氏と石ノ森章太郎氏のどちらが漫画家として巧いかというのは判定出来る筈もないですし。
どちらが好きかという話は成立するにしても。


現在連載中の『アオイホノオ』は単行本を追い続けていますしもちろん面白いんですが、いつかまた
吼えろペン』シリーズの続きも読んでみたいかなと。  
Posted by toshihiko_watanabe at 23:36Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加