2010年04月26日

有栖川有栖 / ダリの繭

有栖川有栖氏の1993年の作品、『ダリの繭』。

Dali

サルバドール・ダリの心酔者であった宝石チェーンの社長が殺され、彼のダリヒゲが無くなっているという点から謎は始まりますが、そのあとも代わっていく容疑者、なぜか2つある凶器のオブジェと増えていく謎。
しかしそれがすべて結局真相の1点を指し示しているという。

また、作家アリス/火村英生モノの初期の作品ということで、各人のキャラ付けに力を入れていたせいかそれぞれの過去が語られたりと、トリック等はもちろんですが、男女の愛憎劇なども描かれていて、全体的にバランスの良い作品という印象。
終盤に向かって真犯人の性格等が明らかにされていくので、事件を推理していくのは割り合い難易度は低いと思うのですが、程よい難易度なのではないかと。

最近の作者が雑だという意味ではなく(爆)、色々なエピソードに均等に力が入れられていて、エンターテイメントとしてかなり出来上がっているという1冊という印象を受ける推理小説でした。

  

Posted by toshihiko_watanabe at 23:50Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加