我孫子武丸氏の"人形シリーズ"の第3作、『人形は眠れない(1991年)』。
1作目は短編集、2作目は短めの長編ときて、この3作目も短めの長編ながら、大筋の線はありながらいくつかの場面を経て進んでいくというストーリー。
ちょっと変わった組み立て方で、作者もあとがきで「中途半端と言われなければ良いが」と書いていますが、十分に成功していると思います。
ミステリ本として見た場合の謎解きは3つありますが、1つめはすぐわかりますが2つ3つめはちょっとわかりにくいかと。
データの提示がされているのは間違いないのですが、ちょっと別な知識が必要になるというか。ネタバレは嫌なんであまり書きませんが(汗)。
ただそういった謎解き部分があまり気にならなかったのは、スムーズに展開していくストーリーと、"ミステリ"というよりは"恋愛小説"としての出来が良いのではと思わせるくらい、主人公の女の娘の心の動きが上手く描かれているという点。
読中の感触は、最近読んだミステリとはちょっと違っていたかも(笑)。
良い作品なんじゃないかと。
次作の『人形はライブハウスで推理する』は書店・古本屋いずれでもあまり見かけないのですが、見つけ次第読みたいと思います。