2016年01月10日

横溝正史 / 犬神家の一族

横溝正史氏の『犬神家の一族(1951年)』。言うまでもないくらいの超有名作だけれど実は初めて読んだ(汗)。
映画版は(たぶんTVで放送された際に)断片的に観た記憶があるのだけれど、犯人だったりトリックなどはほぼ覚えておらず。

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ストーリーは知っている人の方が多いのでしょうし、だからといってネタバレまで書きたくもないので特に触れずにおきますが、横溝作品は登場人物が非常に多いというイメージがあったので、犬神家の異母三姉妹の松子・竹子・梅子に、それぞれの息子の佐清(すけきよ)・佐武(すけたけ)・佐智(すけとも)という名前は覚えやすくてよかった。三姉妹のそれぞれの夫は特に存在感は無いし。


ミステリの組み立て始めとしてはおそらく"仮面"からだとは思われますが、60年以上昔の作品ということもあって、その後にこの作品を経てつくられていったトリック等も目にしているはずなので、さすがに新鮮な驚きというものはなし。
見立ても、正直あまり上手いものとはいえないと思いますし。
とはいえ、ミステリのストーリー内では犯人(と作家)が起こった犯罪のすべてを知る"神"となるものが、この作品では犯人が知らなかったことが多いというのは異色な点かもと。


ミステリとしてはそう高く評価にはならないかなと考えつつも、しかしドラマとしては非常に上手くできている作品だと思いました。そして文章から情景を想像するのももちろん良いのだけれど、映画で成功したのも当然な、映像向きな作品。
2作ともに石坂浩二氏が主演した映画版(76年と06年)がありますが、そのうちちゃんと観てみたいと思います。  

Posted by toshihiko_watanabe at 23:22Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加