2012年06月05日

Yes / Fragile (SACD Hybrid)

イエスの1971年のアルバム『Fragile (こわれもの)』。2011年発売のSACDハイブリッド盤
ちなみに珍しく買った日本盤(笑)。

Fragile

2002年に5.1chにミックスされたDVDオーディオ盤が出ていますが、それと同じ音源のSACD化ということのよう。
レーベル面はジャケットのピクチャーレーベル。

IMG_2024

先日のピンク・フロイドの『Wish You Were Here』の
SACDハイブリッド盤なんかと同じように、今回のアルバムも高校生の頃にプラケースのCDを買ってから紙ジャケットのリマスター版を買い直しているので、たぶん3回目の購入(汗)。
2003年に出たライノ・リマスター盤はスルーしていますが。

IMG_2023

↑右の紙ジャケ盤はえらく荒々しいサウンドでなかなか良かった。


さて今回のSACD盤を買ったのは、高音質で聴きたいという理由もありながらやっぱり大きな理由としては5.1chでのサラウンドミックス。
いつも通りに、
Pioneer BDP-440(ユニバーサルディスクプレイヤー)→YAMAHA AX-V565(AVアンプ)→Pioneer S-A4SPT-VP / YAMAHA NS-C310 / Pioneer S-HS01(スピーカー)
で再生。


1曲目の「Roundabout」は、数えきれないくらい聴いていますしまた演奏した回数というのも数知れず。
ミックスは基本的に前面に固められていますが、音質が良くなってアコースティックギターやシンバルやハイハットだったりが生々しく聴こえる。
曲の最後のアコースティックギターのコードはEメジャーなんですが、今までのミックスよりメジャー感が強く聴こえるのは不思議。
アルバム全体的を通してクリス・スクワイアのベースギターは極悪なサウンドで鳴っているんですが(笑)、この曲は超有名なベースリフということもあり特に印象深い。

このアルバムはバンドでの歌モノ曲4曲(とボーナストラックの「America」)と、5人のメンバーのソロ曲5曲が収録されていますが、ソロ曲の方がサラウンド感が強い印象。
このアルバムから参加のキーボーディスト、リック・ウェイクマンがすべてを演奏している「Cans and Brahms」は完全に360度からサウンドが鳴り響いてきますし、続くボーカリストのジョン・アンダーソンによる「We Have Heaven」も周囲から重ね録りされた歌声が鳴ってくる。
ドラマーのビル・ブルフォードが書いた「Five Per Cent For Nothing」もサウンドの振り分け方が良い。
クリス・スクワイアの曲「The Fish (Shindleria Praematurus)」は、周囲から多重録音されたベースギターのサウンドが鳴り響いてきて、この曲がそういう曲だということを改めて思い出される。
ギターのハーモニクスによるリフもかなり印象的だったので、サラウンドのおかげで聴き方の視点が大きく変えられるのは面白い。


バンドでの曲としては、最後の曲「Heart of The Sunrise(燃える朝やけ)」のミックスがなかなか興味深いかと。
基本的に4リズムを前面に置きつつ、メロトロンなどが後ろから鳴るようになっていますが、ステレオミックスではあまり印象になかったピアノのバッキングが曲の中盤でけっこう聴こえてきたり、今まで以上にムーグが表に出てきている箇所があったりで、ステレオミックスとは違う曲に聴こえるかも。

全体的にも、さんざん聴いたアルバムが別な曲なように聴こえてくるという体験は非常に面白いものだったんですが、ギタリストのスティーブ・ハウがガットギター1本で演奏した「Mood For A Day」のように、サラウンドだからということで残響音を効かせ過ぎているように感じた部分もいくつか。
特に、レコーディングの時点でもともとかかっていたままなのかもしれませんが、サラウンドになって密集感の薄れたセンターから聴こえるボーカルへのリヴァーブは全体的にかかり過ぎだと思いましたし。


しかしまあ何度も聴いた名盤をまた別なサウンドで聴けるという経験は貴重ですし、それが高音質になっているとあればなおさら。
5.1chにリミックスされたDVDオーディオ盤から10年が経っているのでちょっと望み薄かもしれないですが、次作の『Close To The Edge(危機)』もなんとかサラウンドミックスされたSACD盤で出してくれればと。
  

Posted by toshihiko_watanabe at 23:35Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加